2007年07月16日

今敏監督 「千年女優」

千年女優千年女優
販売元 : Amazon.co.jp DVD
価格 :
[タイトル] 千年女優
[出演]
[レーベル] バンダイビジュアル
[監督] 今敏
[種類] DVD

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 アニメ映画といえばジブリの天下になってしまっている昨今なので、他のアニメ映画はなかなか大々的に宣伝されないきらいがあると思う。いや確かにジブリはジブリで素晴らしいのだけど(ゲドは最悪やったけど)、もちろん素晴らしいアニメ監督が勢揃いしている日本なんだから、もっと素晴らしい作品には文句無しで世に広まったらいいのに…と、僕のボヤキはどうでもいいので、とにかく書いていこうと思う。

 今敏(こん さとし)監督の作品が今僕の中でブームであり、他にも「東京ゴッドファーザーズ」「パプリカ」を立て続けに見た。どちらもクオリティが高く本当に素晴らしい作品で、なんで今さんが宮崎さんなみに宣伝されないのか不思議で仕方ないぐらいであるが、その今監督の作品の中でも特に感動して、胸に染み入ったのがこの作品、「千年女優」である。日本だけでなく世界でも絶賛されて数々の賞を勝ち取ったこの映画、ご存知だろうか?
 あらすじはwikiでも何でもあちこちに載っているのでここには書かないが、藤原千代子という女優の生き様が、初恋の男性をずーっと追いかけるあのチカラ、それだけで人生を最後まで駆け抜けて行くという、純粋な美しさと悲しさに満ちていて、観客はそのパワーに圧倒され、立花と一緒に振り回されるような、そんな感覚の映画だった。
 千代子は、自分は年老いて行き、少女のころの自分でなくなってしまった、という現実を知ってしまい、ずっと隠居をしてしまうのだが、立花が持ってくる鍵が、心の中に秘めていた何かをこじ開けてしまい、そこからパンドラの箱をひっくり返したように、千代子の中から様々な回想と現実の入り交じった不思議な世界が溢れ出てきた。
 回想シーンの中に入り込む立花は元々彼女の魅力を熟知している人物だからすんなり入り込めるのに対して、関西弁のアシスタントは最初はやや冷めた目線で随所随所に突っ込みを入れるのだが、やがてそれも少なくなっていくのに気づく。そう、知らずに彼も千代子のパワーに圧倒されてしまったのである。
 千代子は、ずーっと女優、そして、ずーっと初恋をしたあのころのままの心の持ち主なのだ。だから立花たちアニメの中のキャラだけでなく、映画を観る側も、どこまでも走り抜ける彗星のごとき美しさ、すなわち瑞々しいパワーに惹かれるんだろうな。最後のセリフには賛否両論があるかもしれないけど、僕はあのセリフで胸が熱くなったのだから、アリだと思う。それでもまだまだ走り続けるパワーを感じさせる、「少女」の心から生まれたセリフなのだから…。

 なんというか、見終わった後には、快活に人生を生きる千代子の清々しさと、特急列車が通過していった後のような淋しさが残る。もっとこの作品を見続けていたいのだけど、その背中はもういつの間にかあんなに遠くまで行ってしまった…そんな気持ちにさせられるのだった。
posted by あらい at 22:05| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画を見る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月16日

ヤン・シュヴァンクマイエル監督 「悦楽共犯者」

ヤン・シュヴァンクマイエル 悦楽共犯者ヤン・シュヴァンクマイエル 悦楽共犯者
販売元 : Amazon.co.jp DVD
価格 :
[タイトル] ヤン・シュヴァンクマイエル 悦楽共犯者
[出演]
[レーベル] コロムビアミュージックエンタテインメント
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 チェコが生んだシュルレアリズム映画監督、ヤン・シュヴァンクマイエル監督の代表作の一つ。幸運なことに九条のシネ・ヌーヴォーにて上映があり、見ることが出来た。
 さて、この映画には6人の様々な趣味を持つ男女がそれぞれ他人に知られないよう密かに自分で色々工夫して自慰行為をする、という、言ってしまえばそれだけの映画なんだけど、それがもうなんか色々笑えるものばかりで、アホみたいなことを真剣な顔してみんなやる姿が本当におかしい。
 またその個人個人のフェチぶりもぶっとんでるのだけど、それでもなんとなくリアルなのが不思議。ひょっとしてみんなそうなのか?確かにそんな行為をだれかに見られると気まずい、でも自分はそうすることで悦楽に浸ることができるのだからやりたくてやりたくて我慢している、という状態が普段僕が接している普通の人々なんだろうか?とまで思えてくる。いやたぶん実際に何人かいると思う(笑)
 そして、映画を見ている側は、そんなコソコソとおかしな行為をやっている大人たちをのぞき見して楽しむような、そんなワクワクした感覚になる。
 セリフはないけど、一人一人テーマ曲があり、僕はヒゲのおじさん(「オテサーネク」のお父さん、「ルナシー」のドミニク役と同じ、ダンディーなパーヴェル・ノーヴィー氏。チェコの映画界って狭いのね)の大げさなオペラが流れるたびにプッと笑ってしまった。このおじさんのフェチっぷりも見ものである。

 ああおもしろかった。様々なジャンルの芸術があるけど、これは映画じゃないと無理なんじゃないかな。いやとにかく、傑作です。
posted by あらい at 23:35| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画を見る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月28日

杉井ギサブロー 「銀河鉄道の夜」

銀河鉄道の夜銀河鉄道の夜
販売元 : Amazon.co.jp DVD
価格 :
[タイトル] 銀河鉄道の夜
[出演]
[レーベル] PIASM
[監督]
[種類] DVD

■商品紹介■

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 これは有名な作品だと思う。ひょんなことからなんとなく見たくなって借りてきた、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」のアニメ版。ジョバンニたちが猫の姿になっているやつである。杉井ギサブロー監督の1985年の作品。ちなみにこれの前年にはナウシカ、翌年にはラピュタが発表されているので、このころは日本のアニメ映画が一番盛んだったころなのかもしれない。僕はこのアニメ映画の存在は知っていたのだけど、主人公が猫であること、また音楽が細野晴臣であることしか知らなかったので、なんとなく今回見るのが楽しみだった。
 さてこの作品、もうシーンの一つ一つがものすごい印象的で、ミステリアスないい雰囲気である。主人公たちが猫であるのもすんなり受け入れることができる。もちろん原作は人間なのだけど、アニメ化する上で猫にするというのは僕は正解だと思う。賛否両論あるらしいけど。もしこれが人間で描かれていたら、ちょっとしらけてしまうところがあるかもしれない。また、猫だからと言って、ニャーニャー言ったり、またたびにくらいついたりなどせず、姿だけ猫で立ち振る舞いが人間であるというのも良い。これが本当に猫っぽい動作をしていたら、それまた変な感じになってしまうから、ものすごい良い選択だと思った。
 もうね、中盤あたりからシーンの美しさにうるうるきてたし、最後にはもうボロボロ泣いてしまった(笑)。原作を読んでも泣くことはなかったのだけど、お話の深さ、映像や音楽の美しさにグッときたのかもしれない。予想だにしていなかった、傑作である。なんて幻想的なアニメなんだろう。大学時代の僕に大きな影響を与えた大先生が、宮沢賢治は子どものための本ではなく、むしろ大人が読むべきだ、とおっしゃったのが、よくわかる。ものすごい作品が一つ一つ深い。

 それで思うのだけど、もし今これがアニメ化されていたらどうなっていただろうか。ジョバンニもカンパネルラも、後に同人作家が同人誌を出しそうな絵柄になってしまい、声優もソレ系になってしまうんやろなぁ。なんせ、ジョバンニがカンパネルラに「僕たち、どこまでも一緒だよ」とか言ってるんだし、そんな顔で描かれるとソッチの人たちが喜んでしまうに違いない。
 それを考えると、この年代だからこそ出来えたアニメかもしれない。やはり、そういう方をターゲットにしたアニメに芸術は成り立たないからなぁ。
posted by あらい at 17:24| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画を見る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月12日

セルゲイ・ポドロフ 「コーカサスの虜」

コーカサスの虜 コーカサスの虜
販売元 : Amazon.co.jp DVD
価格 :
[タイトル] コーカサスの虜
[出演] オレグ・メンシコフ
[レーベル] アップリンク
[監督] セルゲイ・ボドロフ
[種類] DVD

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 ※本館の記事の再掲載です。

 実はこれは学生時代に大学に置いてあって一度見たのだが、感動とショックのあまり、しばらくビデオブースから動くことが出来なかった。1996年の作品。たぶん、今まで見た映画の中でも、最も色んなことを一度に考えさせられ、ものすごい印象に残り、かなりの衝撃を受け、めちゃくちゃ泣いた作品のうちの一つだと思う。始めに言っておくけど、これはホンマものの名作である。でもどうしてだか、僕が探しまわった5、6件あるレンタルショップには置いてなかったのである。なんでやねん。もし今、これまで見た中で一番おすすめの作品は何か、と聞かれたらこれを挙げるであろう。また見たいよう。
 トルストイの同名小説がモデルだが、その舞台を現代のチェチェン紛争に置き換えた作品。一応、戦争ものの映画に分類されるのだろうけど、やたらめったら銃を乱射したり人が殺されたりする描写がたくさんあるアメリカの戦争映画とは違い、ほとんどそのような描写はなく、本当に登場人物みんなが温かくて、誰ひとり憎むべき人がいない。そして、コーカサス(撮影はダゲスタンだったらしい。チェチェンは当時からリアルに紛争が続いていて、非常に危険だったからという)の景色が、なんだか同じ地球上にあるとは思えないぐらい、僕らにとってはどこか非現実的とも言えるぐらい美しく、美しすぎて悲しいぐらいなのである。でも、お話の結末で、突然映画を見ている人たちは、あまりのショックで一気に絶望へ落とされてしまう…。派手な戦闘シーンは全くないのだけど、これが戦争の本質ではないか、と思う。なんだかリアルすぎて、映画を見ているという気がしなかった。
 もう、話の節々を思い出すだけで、胸が熱くなる。こんなお話、他にはない。僕からはこれ以上言わないでおこうと思う。あとは実際にみなさん、ご覧になって下さい。本当にDVD買おうかなぁ…。
 ちなみに余談だが、主役を演じるのはセルゲイ・ポドロフJr.、つまり監督の息子であるが、この作品が彼のデビュー作である。この作品でこの年の最優秀新人賞を獲得し、その後いくつかの映画に出演するも、2002年、映画の撮影中に、まさにそのチェチェン紛争の大きな事件の一つである小学校占拠事件の舞台であった北オセチア共和国で、雪崩にあってわずか30歳の若さで亡くなってしまった。お話とは直接関係のないことだけど、そんなことを考えると、やりきれない。
posted by あらい at 14:01| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画を見る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

押井守 「Avalon」

アヴァロン Avalon アヴァロン Avalon
販売元 : Amazon.co.jp DVD
価格 :
[タイトル] アヴァロン Avalon
[出演] マウゴジャータ・フォレムニャック
[レーベル] バンダイビジュアル
[監督] 押井守
[種類] ..
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 だいぶ以前見た映画なんだけど、レンタルショップをぶらぶらしていたら気になったので手に取ってみたらまた見たくなり借りることにした。前回見たときは、たしか風邪をひいてうとうとしていたときだったのであまりお話を覚えていなかったのである。
 日本よりも海外での評価が高い押井守監督の作品。一応日本映画に分類されるけど、撮影は全部ポーランドで行なわれ、俳優たちもみんな現地の人々。当然言葉もポーランド語なので、ロシア語とかなり近い言葉だから時々単語がわかってうれしくなった(笑)。
 バーチャルなゲームの中で戦争を繰り広げ、それを糧として生きるアッシュの物語なんだけど、このアッシュ役の女性がめちゃくちゃかっこよくて、一見トゥームレイダーみたいな印象を受けるけど、あれとは違い、本当にゲームから飛び出してきたような感じ。映像も撮影手法も本当にかっこいいし、僕はゲームを卒業してずっとたつけど、やっぱりこういうのは純粋にわくわくするなぁ。だからといってアメリカ映画みたいに無理矢理露骨な悲しいシーンやスプラッタなシーンやラブシーンなどを作ったりすることはなく、おかげで見ていて余計に気持ちいい。
 最後の意味深な終わり方で、よりこのお話の後のことが色々想像出来て面白い(続きを書いた小説があるらしいけど)。若干それぞれのキャラについて説明不足なところもあるけど、それを抜きにしてもエンターテイメントとしてなかなか楽しいものだと思う。

以下追記です。
posted by あらい at 02:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画を見る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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